「海外に行くなら日本文化を学ぶことも大切だ」 なーんておもったわけではない。単に部室が畳で、 こたつにテレビ、おまけにスーファミ付きだったからだ。 ( ちなみに「歴史美術研究会」にも入部した) 不純な動機ではいった茶道同好会だが、 実は後々それがとても役にたつことになるのである。 さて、もとみ先生は予告通り毎週2回昼休みに、 ドイツ語補習クラスをひらいてくれた。 内容はおもに会話である。。。はずなのだが、 先生はどうも合唱が大好きらしく、 「夜汽車」なんかを皆で輪唱したりすることがおおかった。 そんなある時先生が一人の女学生をつれてきた。 よく見るとしっている顔である。そうだ! 茶道同好会の先輩ではないか!滅多に部活にこない人なので、 すぐに思いあたらなかったのだ。先生は紹介する。 「こちらは松下ナホさん(仮名)です。 こんどドイツサマーコースに参加なさるのですよ。 彼女はとてもドイツ語がおじょうずなので、 皆さんの前で話してもらいますね。」 そう紹介されたナホさんは、流れるようなドイツ語で、 自己紹介をはじめた。よくきいていると、 先輩も留学をめざしているといっているようだ。 授業の後に早速先輩のところへかけつけて、お話をしてみた。 「先輩!私、茶道同好会でご一緒させていただいてます。 先輩先程、サマーコースに参加したあとは留学を目指すとおっしゃてましたよね。 私もそうなんです。だから先輩に色々教えていただけると嬉しいんですが。。。」 先輩は、へえそうなんだ、という顔をして、 「うん、いいよ。なにか私におしえられるなら」 といってくれた。 そののちナホ先輩は希望通り選抜試験に合格して、 1年ドイツに留学されることになる。私にはそれがとても励みになった。 一人で秘かに留学の決意はしたものの、「本当にできるのかしら?」という、 疑問をいつも抱いていたのだ。そこにナホ先輩という、 私の一歩先をあるいている目標をみつけたものだから、 安心してその後を追っていけることになったのだ。 。。。しかしまだまだ道のりは遠いのである。 |