Herr Sp.



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Herr Sp.の話を初めて聞いたのは
もとみ先生の授業中であった。

クリスマスも近いある日、もとみ先生はいきなり
「今日は私の秘密の話をちょっとだけ教えちゃいますね!」
と、思わせぶりな前置きして、ドイツ語でしゃべりはじめた。いきなりなんだなんだ!?とびっくりしたが、よくきくと自分のこれまでの人生について語ってらっしゃるようだ。社会学を勉強しにアメリカへ留学し、そして今の御夫君Herr Sp.と出会い・・・ん?これは実はのろけられているのか!?とにもかくにも先生はアメリカでドイツ人Herr Sp.と恋に落ち、ドイツまで追っかけていって学生結婚アーンド学生ママになったらしい。そのころの生活が如何に大変だったかをとくと語ってくれたが、現在Herr Sp.は日本の大学の教授なんだからいいよね。
   
Herr Sp.といえば、ドイツ留学プログラムを取り仕切っているドンだ(その当時は)。いったいどんな人なんだろう?と興味深く耳をかたむけた。
「一番最初にドイツに行ったときね、しょっちゅう彼がわざと手袋を落とすのよ。私いちいち拾ってやったんだけど、あんまり落とすんで文句をいったら、"これはドイツの伝統で、夫はわざと手袋をおとして、 妻がちゃんと後ろについてきているか確認しているんだ。"って言うのよ!」
えー!?マジかいな?(注:わたしゃ嘘だと思う。この手のしょーもないギャグはHerr Sp.の得意技なのだ。)
「最近彼についておどろいたことはね、私がテストの採点をしていて、 何だか同じような答えばかりみつけたのよ。ハハーン、これはカンニングだな、とおもって彼にみせたら、突然激怒して、ライターをもってきて、"こんな答案は燃やしてしまいなさい!"って言うの!私ビックリしちゃって、一所懸命とめたのよ。」
うーん、おちゃめで真面目で恐ろしい先生なのね。そういえば噂では、 授業開始のベルと同時に教室にはいってきて、即行教室の鍵をかけてしまうらしい。

兎に角これが私が初めてきいた、Herr.Sp.についての話だった。この時は人事だと思ってかるーく聞き流していたが、 やがて私の所にも恐怖の大王がやってくることになるのだ。