選抜試験



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さあ!いよいよ選抜試験だ!


募集は20人。当日教室にあつまったのは60人を越す学生であった。

前日に私はナホ先輩に相談の電話をしていた。
「心配しなくてもだいじょうぶよ! 去年は聞き取りが兎に角むずかしくて、 私なんてなんもかけんかったけどちゃんと受かったもん。 あんなん誰かて受かるって!」
ナホ先輩は秋に交換留学生に選ばれ、間もなく出発される。 私もこのサマーコースの試験に受かって、ナホさんのあとをおうぞ!

試験は文法、作文、聞き取り、面接の4つのテストがあり、 1次試験では文法、作文、聞き取りが行われる。 それに受かったものだけが面接試験をうけられるのだ。

間もなく試験が始まるので、教室は静まりかえっていた。 皆緊張しているのがつたわってくる。 教室の外からやたらでかい靴音がコツコツと近付いてきて、 ガラッと勢いよく扉が開いた。入ってきたのは、 微笑んでいるのにやたら威圧感のある、初老の西洋人の先生であった。

「ハーッハッハ。みぃなさん緊張してますなあ!」

大きな声が耳にとびこんできたのでビックリ! さてはこれが噂のHerr Sp.だな!
思ったとおり、その御方はSp.教授、もとみ先生の御夫君だ。 なんだ、思っていたより優しそうじゃないか(と思ったのよ、最初は!!!)。
「じゃあ、はじめましょうな。」
そういうとHerr Sp.は問題用紙を配り、説明を初めた。 まず、Sp.先生が聞き取り用のテキストを読み、 皆は解答用紙の聞き取り問題を解く。 残り時間で文法、作文を解くということだ。

皆の気持ちは最高にたかぶっている。Sp.先生の声はそれを更に助長するかのごとく、お腹の奥までひびいてくる。さあ始まるのだ。試験が。 先生の声の高さがかわった。ドイツ語だ!!!一言も聞きもらしてはならないぞ!

- 間 -

「そんな馬鹿な!?」
一度目の朗読が終わって私はあせった。 アホみたいに簡単なのだ。こんなの誰だって聞き取れる。 もう一度よんでもらう必要もないほどだ。 聞き取りで他の人に差をつけてやろうという私の計画はオジャンである。 幸先の悪いスタートだぞ!しかし、その後の文法も作文もたいして難しくはなかった。接続法なんてでなかったし、基礎的な問題ばかりであった。 これでは差がつかないではないか。

終わった感想。80%以上はできただろう。だけど、皆できたのではないか?

解答用紙は4枚程あったので、各々ホッチキスで端をとめて提出することになった。私にホッチキスがまわってきたとき、ふと私は考えこんでしまった。
(どっちの端をとめるんだ?)
すると、教室中に響く大声が!

「あーたはどちらをとめていいのかわかりませんかなぁ! 常識が無いですなぁ。それでは合格は無理ですよ!」

ごっつービビッたぁ!!!初対面の挨拶がこれかよぉ。。。Sp.先生ぃ~。

数日後一次試験の合格発表が国際課の掲示板にはりだされた。 私は何とか一次は突破したようだ。 Fさんも受かっていた。次は2次試験、面接だ!